今回紹介するのは、「イノベーションのジレンマ」で有名なクレイトン・M・クリステンセンの本です。クリステンセンの「イノベーションの~」シリーズは以下、山のように邦訳されています。
今回紹介する「イノベーション・オブ・ライフ - ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ」は、クリステンセンの研究業績そのもとというより、彼の経営研究「理論」として人生に当てはめて講義したような本になっています。(理論を強調したのにはちゃんと理由があります。本書を是非読んで下さい!)。
また例のごとく原著の紹介ですが、原著の題名は「How Will You Measure Your Life?」で、題名のどこにも「イノベーション」という単語は入っていません。「クリステンセン=イノベーション」で売る戦略なのでしょう。出版社も商売が上手いですね。
原著の題名を直訳すると「どうやって人生を計る?」になると思います。
この本は、特に何とはなしに立ち寄った古本屋で偶然見つけました。その時点でクリステンセンの「イノベーションの~」シリーズがかなりの冊数購入しており、正直そこまで特期待はしていませんでした。しかしこの本は読み進むうちに、色々身につまされる話が書かれていて、自分自身の人生への今まで、現在、将来への見方が大きく変わりました。
本書は、経営や事業戦略の失敗事例を出し、クリステンセンの経営学の知見からその失敗を説明し、そして人生に当てはめて指針を示す、という流れで書かれている部分が多いです。例えば、イリジウム・サテライト・ネットワークの失敗例から、一般的な企業投資の理論「よい資本と悪い資本の理論」を説明し、そこから家族や友人の大切さを説くという流れです。特に「よい資本と悪い資本の理論」の部分は、私がハッとさせられたので引用します。
そして、そのまま仕事に没頭して、大事な人間関係に投資しないでいると、深刻な事態に陥ります。
書かれていることは当たり前ではないかと思う人がいるかもしれません。しかし、高いキャリアや目標を持つ人たちは、その自身の目標を最優先にしてしまうがゆえに、本当に大事なもの(家族、友人との関係)を失う確率が逆に高くなるのではないかと思っています。
クリステンセンからのメッセージが詰まった非常によい本です。ここで取り上げた以外にも示唆に富んだ話が多く書かれています。個人的には「イノベーションのジレンマ」と並ぶぐらい感銘を受けた本です。20~30代の方に特にお勧めの本です。
今回紹介する「イノベーション・オブ・ライフ - ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ」は、クリステンセンの研究業績そのもとというより、彼の経営研究「理論」として人生に当てはめて講義したような本になっています。(理論を強調したのにはちゃんと理由があります。本書を是非読んで下さい!)。
また例のごとく原著の紹介ですが、原著の題名は「How Will You Measure Your Life?」で、題名のどこにも「イノベーション」という単語は入っていません。「クリステンセン=イノベーション」で売る戦略なのでしょう。出版社も商売が上手いですね。
原著の題名を直訳すると「どうやって人生を計る?」になると思います。
この本は、特に何とはなしに立ち寄った古本屋で偶然見つけました。その時点でクリステンセンの「イノベーションの~」シリーズがかなりの冊数購入しており、正直そこまで特期待はしていませんでした。しかしこの本は読み進むうちに、色々身につまされる話が書かれていて、自分自身の人生への今まで、現在、将来への見方が大きく変わりました。
本書は、経営や事業戦略の失敗事例を出し、クリステンセンの経営学の知見からその失敗を説明し、そして人生に当てはめて指針を示す、という流れで書かれている部分が多いです。例えば、イリジウム・サテライト・ネットワークの失敗例から、一般的な企業投資の理論「よい資本と悪い資本の理論」を説明し、そこから家族や友人の大切さを説くという流れです。特に「よい資本と悪い資本の理論」の部分は、私がハッとさせられたので引用します。
人生でも気をつけていないと、簡単に悪い金の手法に陥ってしまう。自分が打ち込んでいて楽しいと感じる仕事であれば、困難なほどやる気が出るという人は多い。これは仕事を頑張っている人なら、身に覚えがある人も多いのではないかと思います。
プレッシャー下でも立派な仕事ができることを証明したいのだ。
プロジェクトやクライアント、同僚に難問を突きつけられ、仕事に没頭する。
だが、何もかもを達成しようとするうちに、仕事に全身全霊を傾けなくてはと考えるようになり、それが当たり前になる。
(99ページ)
そして、そのまま仕事に没頭して、大事な人間関係に投資しないでいると、深刻な事態に陥ります。
忙しさにかまけ、図らずもおろそかにしてしまった友情の一つや二つは、誰にでもあるだろう。
自分の友情だけは、放っておいても壊れないと思うかもしれないが、そんなことはまずない。
晩年になってから、かつてあれほど大切に思っていた友人や親戚と、なぜもっと連絡を取り合わなかったのだろうと嘆く人が多い。
忙しくてそれどころではなったのだ。
だがそのまま放っておくと深刻な影響がおよぶことが多い。
...
黙って話を聞いてくれる人を失い、闘病生活や離婚、失職などの大変な時期を、一人で耐え忍ばなくてはならなかった人たちを。
(102ページ)
書かれていることは当たり前ではないかと思う人がいるかもしれません。しかし、高いキャリアや目標を持つ人たちは、その自身の目標を最優先にしてしまうがゆえに、本当に大事なもの(家族、友人との関係)を失う確率が逆に高くなるのではないかと思っています。
クリステンセンからのメッセージが詰まった非常によい本です。ここで取り上げた以外にも示唆に富んだ話が多く書かれています。個人的には「イノベーションのジレンマ」と並ぶぐらい感銘を受けた本です。20~30代の方に特にお勧めの本です。
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