マイケル・ポーターは「Competitive Advantage (競争優位)」「Five Forces」で有名な経営戦略研究の第一人者です。私も以前から興味があり名著「競争の戦略」を読んでみようと思っていたのですが、書店に行って、あまりの本の分量の多さ (+価格の高さ)に購入を諦めていました。
もっと手軽に読めそうな本はということで、以下のポーターの論文集のような「競争戦略論I」「競争戦略論II」本は購入したのですが、いまいち(私のレベルの)実務では実感に乏しく、あまり深く読んで理解することができませんでした。
そんな中でようやく見つけたのが本書「[エッセンシャル版] マイケル・ポーターの競争戦略」になります。結論から言いますと、本書が私にとっては最も理解しやすかったです。
本書は、ポーターの経営・競争戦略の理論の本質を、ポーターと長年仕事を共にしてきたジョアン・マグレッタが要約し解説する形で書かれています。
原著は「Understanding Michael Porter: The Essential Guide to Competition and Strategy」になります。
今回の邦訳の題名は意訳感はないので改めて訳すほどではないですが、私の拙い英語で直訳すると「マイケル・ポーターを理解する: 競争と戦略の必須ガイド」になるでしょうか。余談ですが「Essential Guide」は「エッセンシャルガイド」のカタカナで訳
してしまってもよいかも知れません、日本語でぴったり来る言葉が見つかりませんでした。そもそも「Guide」は「ガイド」と訳すしかないような気がします。
さて本の内容です。正直あまり期待していなかったのですが、ポーターの競争戦略の要点がしっかりまとめられており、「なるほど」「面白い」と感じながら読み進めることができました。また、ポーターの理論へのよくある批判に対する反論や解説も記されており、ポーターの理論を俯瞰的に理解することができました。
私が、本書でまず気づかされたのは「競争に勝つ」という言葉に対する意味のとり方です。我々は「競争に勝つ」というとどうしても「最高を目指す」「一番になる」「相手を打ち負かす」というような行動をとりがちですが、ポーターは「最高を目指すべきではない」と言明しています。同じものさしで最高を目指して、すべての企業が競争すれば、最終的に相手を打ち負かすまで続く消耗戦になる上、顧客に提供できる価値の種類も少なくなってしまい顧客にとっても不幸だ、とポーターは述べています。ここでふと頭に思い浮かんだ例が、日本のECサイトの競争です。例えばAmazon、楽天、Yahooショッピング、ヨドバシカメラを比較する際、我々はどうしても流通総額(規模)で単純比較しがちですが、実は各社とも独自性があり、異なる顧客のニーズを満たしていると思います。
「戦略とは何か?」で上げられていた要素は、当たり前といえば当たり前ですが、本質を突いていると感じました。
例えば、システムのチームとして「少ない人員で高速にシステムを開発するために(価値創造)」「システムの文書化や多少のバグは許容されるので手動テストは捨てて、徹底的にコードを書く、自動化に注力し(トレードオフ・適合性)」「チームのメンバーが入れ替わっても3年間続ける(継続性)」というように、4つの要素を考慮しながら方針(戦略)を決めるようになりました。環境が違えば、時間は余分にかかっても「コードを書く」よりも「システムの文書化」の方を優先せざるを得ない場合もあると思います。これがポーターの言う「適合性」なのだと勝手に(汗)解釈しています。
本書で挙げれている4つの要素は、経営に限らず一般的に何かを成し遂げる上で、役に立つものだと思いました。
最後に、本書の終章で挙げられていた「10の実践的な意味」はどれも落とせない指針ですが、その中で特に私が特に印象に残ったものを引用します。
もっと手軽に読めそうな本はということで、以下のポーターの論文集のような「競争戦略論I」「競争戦略論II」本は購入したのですが、いまいち(私のレベルの)実務では実感に乏しく、あまり深く読んで理解することができませんでした。
そんな中でようやく見つけたのが本書「[エッセンシャル版] マイケル・ポーターの競争戦略」になります。結論から言いますと、本書が私にとっては最も理解しやすかったです。
本書は、ポーターの経営・競争戦略の理論の本質を、ポーターと長年仕事を共にしてきたジョアン・マグレッタが要約し解説する形で書かれています。
原著は「Understanding Michael Porter: The Essential Guide to Competition and Strategy」になります。
今回の邦訳の題名は意訳感はないので改めて訳すほどではないですが、私の拙い英語で直訳すると「マイケル・ポーターを理解する: 競争と戦略の必須ガイド」になるでしょうか。余談ですが「Essential Guide」は「エッセンシャルガイド」のカタカナで訳
してしまってもよいかも知れません、日本語でぴったり来る言葉が見つかりませんでした。そもそも「Guide」は「ガイド」と訳すしかないような気がします。
さて本の内容です。正直あまり期待していなかったのですが、ポーターの競争戦略の要点がしっかりまとめられており、「なるほど」「面白い」と感じながら読み進めることができました。また、ポーターの理論へのよくある批判に対する反論や解説も記されており、ポーターの理論を俯瞰的に理解することができました。
私が、本書でまず気づかされたのは「競争に勝つ」という言葉に対する意味のとり方です。我々は「競争に勝つ」というとどうしても「最高を目指す」「一番になる」「相手を打ち負かす」というような行動をとりがちですが、ポーターは「最高を目指すべきではない」と言明しています。同じものさしで最高を目指して、すべての企業が競争すれば、最終的に相手を打ち負かすまで続く消耗戦になる上、顧客に提供できる価値の種類も少なくなってしまい顧客にとっても不幸だ、とポーターは述べています。ここでふと頭に思い浮かんだ例が、日本のECサイトの競争です。例えばAmazon、楽天、Yahooショッピング、ヨドバシカメラを比較する際、我々はどうしても流通総額(規模)で単純比較しがちですが、実は各社とも独自性があり、異なる顧客のニーズを満たしていると思います。
「戦略とは何か?」で上げられていた要素は、当たり前といえば当たり前ですが、本質を突いていると感じました。
- 価値創造
- トレードオフ
- 適合性
- 継続性
例えば、システムのチームとして「少ない人員で高速にシステムを開発するために(価値創造)」「システムの文書化や多少のバグは許容されるので手動テストは捨てて、徹底的にコードを書く、自動化に注力し(トレードオフ・適合性)」「チームのメンバーが入れ替わっても3年間続ける(継続性)」というように、4つの要素を考慮しながら方針(戦略)を決めるようになりました。環境が違えば、時間は余分にかかっても「コードを書く」よりも「システムの文書化」の方を優先せざるを得ない場合もあると思います。これがポーターの言う「適合性」なのだと勝手に(汗)解釈しています。
本書で挙げれている4つの要素は、経営に限らず一般的に何かを成し遂げる上で、役に立つものだと思いました。
最後に、本書の終章で挙げられていた「10の実践的な意味」はどれも落とせない指針ですが、その中で特に私が特に印象に残ったものを引用します。
1. 最高を目指す競争は、一見正しいように思えるが、実は自己破壊的な競争方法である。「エッセンシャル版」と銘打たれているとおり、コンパクトにまとまっていて読みやすい本だと思います。仕事の実務の指針を考える上でも非常に役立ちました。本書は☆5つでお勧めです。
2. 利益を生まない規模拡大や成長には、何の意味もない。競争の目的は市場シェアではなく、利益にある。
...
5. あらゆる顧客を満足させようと思わないこと。一部の顧客を意図的に不満にさせるのが、優れた戦略の特徴である。
6. 戦略は組織がやらないことをはっきり打ち出して、初めて意味をもつ。トレードオフは、競争優位を実現し持続させる、戦略のかすがいだ。
...
8. 優れた戦略は、1つではなく多数の選択に立脚しており、さまざまな選択間の結びつきのうえに成り立っている。ひとつのコアコンピタンスが持続可能な競争優位を生み出すことはまずない。
(251~252ページ)
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