皆さんはジェフリー・フェファーをご存知でしょうか。
ジェフリー・フェファーは、アメリカの組織行動学者でスタンフォード経営大学院の教授をされている方です。
「パワー」「影響力」「組織行動」などのキーワードが個人的にしっくりくる方かなと思っています。理想よりも現実に即した著作を多く発表しており、彼の著作は会社で行きぬく上で非常に参考にさせてもらっています。
そんな彼の著作の中で最近邦訳された「悪いやつほど出世する」を紹介したいと思います。
原著は「Leadership BS: Fixing Workplaces and Careers One Truth at a Time」(Jeffrey Pfeffer)なので、直訳すると「リーダーシップのウソ: 一度に職場とキャリアを改善する1つの真実」になるかと思います。
BSの意味がいまいちわからなかったのですが、私はスラングの「Bull Shit = 牛の糞 」と取って、「デタラメ」「ウソ」という訳にしました。あと副題の「Fixing Workplaces and Careers One Truth at a Time」の部分は本著作中で、これまでさまざまなリーダーシップ論が提唱されてきたが、いつも正しいわけではない(=半分正しい)というような主張をしていたので、「Fixing Workplaces and Careers One Truth at a Time (一度に職場とキャリアを改善する1つの真実)」みたいなそんなものはないよ、といっているのではないかと個人的には理解しています。
さて、内容ですが、端的にいうと、「リーダーシップの書籍や講座で述べている理想論は捨てなさい、とまでは行かないまでも、全部鵜呑みにするな」ということだと思います。
章ごとのタイトルを、私が気になったもののみ抜粋して並べただけですが、本書の主張は、たとえば以下のような感じです。
などなど。現実はつらいなという印象です。ただ私が今まで所属してきた組織を生き抜く上で、納得いく主張ばかりです。
「サーバント・リーダーシップ」に限らず、支援型のリーダーシップは個人的にはすばらしいとは思いますが、職場環境や文化をよく見据えて実践するか決断すべき(本書でいう「半分正しい」)だと思います。下手に実践した場合、他の人から見れば「鴨ねぎ」で、あっという間に「食い物」にされてしまうこと可能性もあることを認識すべきだと思います。
海外のAmazonの書評ではフェファーがダークサイドに落ちたなどと書いている人もいますが、私はそうではないと思っています。私は、フェファーの他の著作もたくさん読みましたが、彼は組織や人間が望むキャリアを掴むにはどうしたらよいかという視点を常に一貫して持っていると思います。私は、フェファーの本書「悪いやつほど出世する」からのメッセージを「理想論だけのリーダーシップだけでは、とても組織を泳ぐことはできないということを認識して、現実に即して、あなたたちの望むキャリアを築け」と受け取りました。私は本書を良書としてお勧めしたいと思います。
章ごとのタイトルを、私が気になったもののみ抜粋して並べただけですが、本書の主張は、たとえば以下のような感じです。
- 大繁盛のリーダー教育産業
- にもかかわらず、職場は不満だらけ
- 悪いリーダーははびこり、名リーダーはほとんどいない
- 熱心にリーダー研修を受けた人ほどキケン
- リーダーは「社員第一」ではなく「わが身第一」
- リーダーに信頼はいらない、そして私たちはだまされやすい
- 信頼を踏みにじってもリーダーは罰されない
- 自信過剰なほうが成功しやすい
- 「オーセンティック・リーダーシップ」は、こうして大流行に
- ところでそんなリーダーは存在するのか
- 「自分らしさ」は臨機応変に捨てよう
- たいていのリーダーは嘘をつく
- 他人は自己利益に基づき行動する。あなたもそうすべき
などなど。現実はつらいなという印象です。ただ私が今まで所属してきた組織を生き抜く上で、納得いく主張ばかりです。
私が所属してきた組織でも、例えば「サーバント・リーダーシップ(部下に対して、奉仕し、組織のメンバーの持つ力を最大限発揮できる環境づくりを行うリーダーシップ)」を体現している人にはついぞやお目にかかったことはありません。今までお会いした方は、どちらかというと政敵を圧倒するパワー、怖さを持っている方ばかりでした。そこまで行かなくても、「なんかこの人の前では下手なことは言えないぞ」「なんだか何でも強引で我が強い」という雰囲気を受ける方が非常に多かったです。
現状の組織で、上に立つリーダー自身が実践してこなかった「サーバント・リーダーシップ」をそのリーダー自身が、「これからはサーバント・リーダーシップだ!」と主張しても説得力が低いと思っています。もっとうがった見方をすると、自分が組織の階段を上がるときにやってこなかったことを、他人推奨して、蹴落としたいのかななどと思ってしまいます。
現状の組織で、上に立つリーダー自身が実践してこなかった「サーバント・リーダーシップ」をそのリーダー自身が、「これからはサーバント・リーダーシップだ!」と主張しても説得力が低いと思っています。もっとうがった見方をすると、自分が組織の階段を上がるときにやってこなかったことを、他人推奨して、蹴落としたいのかななどと思ってしまいます。
本書でも、
といった事例が紹介されています。...あるメディア企業の役員などは、2014年に私の講座に招いたときに、学生たちにこんな乱暴な助言をしたほどだ。「今日家に帰ったら、持っているリーダーシップ本は全部捨ててしまえ、もっといいのは、ライバルにそいつを進呈することだ」。(73ページ2行目あたり)
「サーバント・リーダーシップ」に限らず、支援型のリーダーシップは個人的にはすばらしいとは思いますが、職場環境や文化をよく見据えて実践するか決断すべき(本書でいう「半分正しい」)だと思います。下手に実践した場合、他の人から見れば「鴨ねぎ」で、あっという間に「食い物」にされてしまうこと可能性もあることを認識すべきだと思います。
海外のAmazonの書評ではフェファーがダークサイドに落ちたなどと書いている人もいますが、私はそうではないと思っています。私は、フェファーの他の著作もたくさん読みましたが、彼は組織や人間が望むキャリアを掴むにはどうしたらよいかという視点を常に一貫して持っていると思います。私は、フェファーの本書「悪いやつほど出世する」からのメッセージを「理想論だけのリーダーシップだけでは、とても組織を泳ぐことはできないということを認識して、現実に即して、あなたたちの望むキャリアを築け」と受け取りました。私は本書を良書としてお勧めしたいと思います。
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