今日紹介する本は、ジェフリー・フェファーの「影響力のマネジメント (リーダーのための「実行の科学」)」です。この本は、私にとってジェフリー・フェファーの著作の中で、最も実際の仕事の中で役に立った本です。
原著の題名は「Managing With Power: Politics and Influence in Organizations」になります。直訳すると「パワーを用いたマネジメント: 組織における政治と影響力」とでもなるでしょうか。
本書は題名どおり、組織内での「パワー」「影響力」ということに徹底的に注力して書かれています。
例えば、「パワー」を使っていかに敵対勢力を一掃するか、どうやって自分を強い立場に置いて「パワー」を維持するか、そして、どういう行動により「パワー」を失うのかなどについて、実際に歴史上起きた例を交えながら、事細かに述べられています。アメリカ大統領のリンドン・ジョンソン、ニューヨークの公共事業担当者ロバート・モーゼス、Appleのスティーブ・ジョブズ、日産の川又(私は本書を読むまで知りませんでした)まで、幅広い事例が上げられていますが、この事例の幅広さからも本書がいかに本気で書かれているか伝わると思います。
本書の中のほんの一部ですが、「パワーの源泉としての個人特性」の部分で述べられているコンフリクトの部分が、本書の雰囲気をよく表していると思いますので、引用します。
上記のような内容を読んで、げんなりして読むのをためらう方もいるかも知れません。正直、私も本書を読んで「こんなことばかりだから、組織には居たくない。」と思ってしまいました。しかし、フェファーは本書に登場する「パワー」のある人たちではなく、組織内での権力闘争に疎い人、逃げ出してしまうような人にこそ、本書を読んで、組織を動かして欲しいと願っているのだと私は思っています。本書の18章の最後の締めの部分の言葉がそれを物語っていると思います。少し長いですが引用します。
私にとっては、フェファーの著作の中で、本書が最も実践的かつ役に立つものでした。是非もっと多くの人に読んでもらいたいと思っています。
原著の題名は「Managing With Power: Politics and Influence in Organizations」になります。直訳すると「パワーを用いたマネジメント: 組織における政治と影響力」とでもなるでしょうか。
本書は題名どおり、組織内での「パワー」「影響力」ということに徹底的に注力して書かれています。
例えば、「パワー」を使っていかに敵対勢力を一掃するか、どうやって自分を強い立場に置いて「パワー」を維持するか、そして、どういう行動により「パワー」を失うのかなどについて、実際に歴史上起きた例を交えながら、事細かに述べられています。アメリカ大統領のリンドン・ジョンソン、ニューヨークの公共事業担当者ロバート・モーゼス、Appleのスティーブ・ジョブズ、日産の川又(私は本書を読むまで知りませんでした)まで、幅広い事例が上げられていますが、この事例の幅広さからも本書がいかに本気で書かれているか伝わると思います。
本書の中のほんの一部ですが、「パワーの源泉としての個人特性」の部分で述べられているコンフリクトの部分が、本書の雰囲気をよく表していると思いますので、引用します。
「うまくやっていくためには、仲良くやっていかなければ」という格言は、子どものころからしばしば聞かされるものだ。フェファーはこの後の文章で、多くの人々はコンフリクトを嫌うので、好戦的で厄介な存在になることもパワーを獲得する上で重要な要素だとも述べています。
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コンフリクトから逃げてばかりだと、自分の思いを通せることはまずないだろう。
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一緒に仕事をしている仲間内ではたしかに好かれる要素だろうが、パーソナリティが穏やかだからと好かれている者が必ずしも最も有力だとか、物事を遂行できるなどということは実際にはないと考えてよい。(186ページ)
上記のような内容を読んで、げんなりして読むのをためらう方もいるかも知れません。正直、私も本書を読んで「こんなことばかりだから、組織には居たくない。」と思ってしまいました。しかし、フェファーは本書に登場する「パワー」のある人たちではなく、組織内での権力闘争に疎い人、逃げ出してしまうような人にこそ、本書を読んで、組織を動かして欲しいと願っているのだと私は思っています。本書の18章の最後の締めの部分の言葉がそれを物語っていると思います。少し長いですが引用します。
パワーがないと感じるのは楽で、しばしば心地もよいものだ。私自身も上記を読んで、自分の言動や行動を振り返って反省しなければと痛感させられました。私は本書を読むまでは、組織内で行われている駆け引きを一貫して悪いものとしてとらえていましたが、本書を読んでから、組織内での「パワー」のぶつかり合いを、多少落ち着いて見れるようになりました。
「どうしたらよいかわからない。物事を実行するためのパワーもない。争いに巻きこまれるなんて、まっぴらだ」と。
自分の組織で何らかのミスとぶつかって「これは本当は自分の責任ではない、それについてはもうどうしようもない、会社がそうしたいと言うのなら、そう上の役員は高い金をもらっているのだから、彼らの責任でしょう」というのも簡単だし、よくあることだ。
こう考えることで自分が物事を成し遂げられないことを正当化する。反対を押さえこもうとしなければ、敵をつくらずにすみ、自分が困ることもあまりない。
しかし、こうした考え方と振る舞いは組織と個人を失敗に導くものなのだ。
これが、パワーと影響力をもつことが組織のもっとも汚い秘訣でなく、個人と組織の両方にとっての成功の秘訣である理由なのだ。(371ページ)
私にとっては、フェファーの著作の中で、本書が最も実践的かつ役に立つものでした。是非もっと多くの人に読んでもらいたいと思っています。
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