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静かなリーダーシップ (ジョセフ・L. バダラッコ 著)

今日紹介する書籍はジョセフ・L. バダラッコの「静かなリーダーシップ」です。


原題は「Leading Quietly: An Unorthodox Guide to Doing the Right Thing」です。
直訳すると「静かに導く: 正統的でないやり方で正しいことをする」にでもなるでしょうか。「An Unorthodox Guide to Doing the Right Thing」の部分がちょっと訳しづらいです。「Unorthodox」の部分は、異端とかそういう意味ではなく、本文をよく読むとわかるのですが、「一般に言われている正統的な動機や方法とは異なった」という意味です。
 

一般大衆は、リーダーの目だった英雄的な行動に感動し、無意識のうちにリーダーにそういった行動を求めている節があると著者は述べています。
本書では様々な実例を通して、著者のいう「静かなリーダーシップ」とはどのようなものなのかがわかってくると思います。

私がもっとも共感したのは、第二章の「行動はさまざまな動機に基づく」です。我々はヒーローの自己犠牲の話にどうしても感動してしまいますが、実際には、自分の保身、組織の規律の維持、昇進・昇給の機会を掴む、など複雑で様々な動機が絡み合って人間は行動を起こしています。組織で昇進したいという動機だけでは、組織は良くなるとは思えませんが、それがなければ他のライバルとの競争に打ち勝つこともできず、何も成し遂げることができないのも事実だと思います。本書では人間や環境は複雑なものだと認め「複雑でさまざまな動機が静かなリーダーシップのカギになる」と述べています。

「健全な利己主義の感覚」は「静かなリーダーシップ」を実践する上では、大事なものだと述べられています。

私自身の経験と照らし合わせても、純粋な自己の欲求と倫理観のバランスを上手く取れたときに本当に良い結果が生み出されていると思います。

著者の提唱する「静かなリーダーシップ」こそ組織で働く人たちにとって、「正しいことをする」現実的な方法なのだと思います。

私もマネジメント、リーダーシップ関連の本は多く読んできましたが、理想論を語るだけでなく、現実に即しているという意味で、この本は非常にお薦めです。



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